「仕事を斡旋する」という名目で約4700万円をだまし取ったとして、詐欺罪で大津地裁から判決を受けたのは、軽貨物運送事業開業ビジネスを経営していた大阪府豊中市の会社役員M被告(45歳)。 M被告が「軽貨物運送事業の独立開業と仕事を斡旋する」という謳い文句で経営していた独立開業ビジネスは、軽貨などの同業他社と同じく公共施設を借りて説明会を開催、求人媒体を見て応募してきた独立開業を夢見る被害者らに200万円以上で軽トラックを購入させて、実際には募集時に明記していた仕事を斡旋しなかったというもの。 大津地裁はM被告に対し「公共施設で説明会を開くなど計画的な犯行。独立開業を目指した被害者らの夢を打ち砕いた罪は重い」(山田整裁判官)と、求刑懲役6年に対し懲役4年2月を言い渡した。 判決によると、同被告は平成13年4月から約1年間、湖南地区の公共施設で軽貨物運送事業開業の希望者らに説明会を開き、「全面的にバックアップする」とうそをついた上で割高な軽トラックを購入させ、仕事の斡旋手数料として、35人から約4700万円を騙し取った。 軽貨物運送の独立開業から仕事の斡旋までをサポートするという触れ込みの業者は、全国各地に多数存在し、現在でも新聞の求人チラシなどで盛んに応募者を募っているが、そのほとんどが経営者や幹部がパイオニアであり、最大手として株式上場(大証2部)まで果たした軽貨急配で、そのノウハウを学んでその後独立したというケースだ。 詐欺罪で実刑判決を受けたM被告も、同社の出身であることが本紙取材によって判明している。 軽貨社の元中枢社員は「まだ、そんな詐欺まがいのことをしていたのか」と本紙取材に応じ、M被告について「私の先輩であり、大阪府下の営業所長まで上り詰めたやり手だった。当時、独立心も旺盛で軽貨でノウハウを吸収して、早くから自分で独立開業ビジネスを始めた人物」と証言。詐欺商法の原点は、軽貨社にあるようだ。